腰痛の原因(腰椎すべり症で慢性的な腰痛でお悩みのMさん) 

腰痛の原因(腰椎すべり症のMさん) 

腰椎すべり症で慢性的な腰痛でお悩みのMさん 

オンラインパーソナルレッスン(パーソナル・コンプリートコース)をスタートしたばかりのご受講生Mさんのお話です。 
 
Mさんは50代半ばの方。 
腰椎すべり症で、慢性的に腰痛があることに悩まれていました。 
50歳頃からどんどん調子が悪くなり、「このままでは大変なことになる」と思われパーソナルコースにいらっしゃいました。

そんなMさんですが、1回目のレッスンで腰痛がかなり緩和したとのことで驚かれています。

1回目のレッスン後に頂いたメッセージです。

昨日レッスンありがとうございました。
直後から腰が凄く楽でびっくり!!してます。

腰が楽になったということですが、腰痛のある箇所を狙った取り組みは全く行っておりません。 

また、パーソナルコースはオンラインレッスンなので、私がお体を触って施術するなどの調整は行っておらず、全てご本人に取り組んで頂きました。
 
腰椎すべり症のMさんの腰痛が、なぜ緩和したのかお話します。 

腰椎すべり症とは

腰椎すべり症とは、腰椎の椎骨がずれる(すべる)ことにより脊柱管が狭くなり神経組織が圧迫され、腰痛や下肢のしびれなど様々な症状が現れた状態のことを言います。 
 
腰椎すべり症は「腰椎変性すべり症」「腰椎分離すべり症」の2種類に分けられ、このうち罹患率が高いのは前者の「腰椎変性すべり症」なのだそうです。 
 
腰椎変性すべり症」の原因は、加齢に伴い椎間板(椎骨と椎骨の間にあるクッションとなる 線維軟骨 )や椎間関節(椎骨と椎骨の間にある関節)が変性するからと言われていて、特に第4腰椎と第5腰椎の間に生じることが多いそうです。 

腰痛の原因は加齢?

以前、椎間板ヘルニアの手術をされた後も腰痛しびれが続いていることに悩まれ、3ステップ講座(現在トータルバランス姿勢・歩き方講座)を受講された方がおられました。 
 
その方は、バランス良く立つことで腰痛が軽減し、脚のねじれを取る美脚講座で脚の動かし方が違うだけで腰に痛みが出ることに気付かれ修正できるようになり、腰痛はほぼ無くなったとおっしゃっていました。 
 
私の夫も30代後半に椎間板ヘルニアと診断を受け、40代で年に何回もギックリ腰を繰り返し、治療院に毎週通わないと持たない体になり、手術をした方が良いと勧められていました。 
 
腰痛改善のためにと頑張っていた腹筋と背筋を強化する取り組みを手放し、姿勢と歩き方改善に集中してもらった結果、60歳になる今では全く腰痛は出なくなり10km以上歩いても平気な体になりました。治療院にも15年行っていません

夫は、スポーツが得意で筋肉の強化を評価されスポーツジムの広告に掲載された経験がありますが、スポーツが得意なことも筋肉強化を頑張ったことも腰痛予防にはなっていませんでした。

これらのお話から、腰痛の原因加齢や筋力の無さだと諦めるのは非常にもったいないことだということがわかります。 

Mさんの腰痛の原因

腰椎すべり症のMさんの慢性的な腰痛の原因は、顎を歪ませる動作と脚をねじれさせる動作にありました。 
 
どのような歪み方をしていて、どんな動作が歪みを作っているのか、そして日常どう過ごせば良いのかを、Mさんに合う方法でお伝えし練習して頂きました。 

顎を歪ませる動作と脚を歪ませる動作が、なぜ腰痛の原因となっていると考えたのかをお話します。 

腰痛の原因について考える-大腰筋

私たちの体には、腰椎と大腿骨を繋ぐ大腰筋(だいようきん)という体幹の筋肉があります。 
 
大腰筋の作用は、股関節の屈曲と、股関節のわずかな外旋です。 
大腰筋は、背骨と脚を繋ぐ唯一の筋肉で、この筋肉が発達しているから私たち人間は立って歩くことができます。 

 
この大腰筋がどのように骨にくっついているのか説明します。 

筋肉には起始(支点)と停止(作用点)があります。 
 
まずは、起始を見てみましょう。 
大腰筋にはお腹側にある浅頭と背中側にある深頭があり、起始が異なります。 
 
画像の青色の丸印が浅頭の起始で、緑色の丸印が深頭の起始です。 

浅頭の起始は第12胸椎から第4腰椎までの椎骨の椎体で、深頭の起始は第1腰椎から第5腰椎までの椎骨の肋骨突起です。 

横から見るとこんな感じです。

写真は、私の相棒 骨格模型の『YURUくん』です。

次に停止を見てみましょう。 
先ほどのYURUくんを下から写しました。
 
太ももの骨(大腿骨)の内側の後ろの方にある小転子という突起(オレンジ色の丸印)が停止です。 
 
大腰筋腰椎すべてに付着し、そこから骨盤の前を通り太ももの内側に潜り込んで太ももの骨に付着しているのです。 

脚がねじれたまま過ごしていると、腰に違和感や痛みが出ることがあるということがわかりますし、腰椎の椎骨が変形する原因にもなっているのでは?とも考えられます。

腰痛の原因について考える-腰方形筋

腰方形筋(ようほうけいきん)は、腸骨稜(腸骨の縁)の後ろ側が起始で、第1腰椎から第4腰椎の肋骨突起と第12肋骨の下縁に停止してます。 
 
腰痛のある方は、腰方形筋がガチガチに固まってしまっています。 
また、ギックリ腰の原因の多くが腰方形筋の状態にあると言われています。 
 
腰方形筋の作用には、骨盤の挙上・脊柱の側方屈曲・脊柱の伸展があります。 

骨盤の挙上とは、骨盤を持ち上げること。
腰方形筋の緊張に左右差があると、骨盤が傾いてしまいます。 

片側の骨盤が高く持ち上がった歪みも、脚をねじれさせる歩き方が原因となっていることはよくあります。 
足の長さが違う・腰の高さが違う(パーソナルレッスン)
 
次に、脊柱の側屈。 
体を横に倒す動作のことで、外腹斜筋・内腹斜筋というお腹の筋肉とともに作用します。 
 
そして、脊柱の伸展。 
上半身を反らせる動作のことで、脊柱起立筋とともに作用します。 

腰痛の原因について考える-多裂筋

多裂筋(たれつきん)は、脊柱起立筋の深層にあり、脊柱を構成する椎骨を繋いでいる小さな筋肉で、骨盤にある仙骨の後面・全腰椎の乳様突起・全胸椎の横突起・第4~第7頸椎の椎骨の関節突起に起始し、起始より上2~4の棘突起(背中の中心にある突起)に停止しています。

脊柱は、一つ一つ椎骨が重なっているため安定性に欠けるのですが、多裂筋はその不安定な脊柱を補強することで、姿勢を維持する体幹筋として重要な役割を担っています。

腰の中心あたりが痛いという方は、この多裂筋が緊張している可能性があります。

多裂筋の作用は、脊柱の側方屈曲(同側:右に体を曲げる時は右の多裂筋を使い、左に曲げる時は左の多裂筋を使う)・脊柱の回旋(対側:右に体をひねる時は左の多裂筋を使い、左にひねる時は右の多裂筋を使う)・脊柱の伸展(両側を使い上半身を反らせる動き)
※いずれも大きな動きではありません。

脚のねじれ方と顎の歪みから推測できたこと

上記でご紹介した腰椎に付着する筋肉やお尻の筋肉など、緊張している筋肉を弛緩させることでも腰は楽になることでしょう。
ですが、私たちは生活する上で動かなくてはなりません。
その動きが今まで通りであれば、また腰の痛みが再発する可能性がとても高いのです。

前述の、手術後も痛みやしびれがあり悩まれていたご受講生も、毎週のように治療院に通わなければ体が持たなかった私の夫も、動作改善をしていなかったから再発していたということです。

Mさんは股関節・膝関節・足関節すべてにねじれがありました。 
その脚のねじれ方と、顎の歪み方から推測できたこととは以下です。

脚がねじれる姿勢や歩き方で、小転子の位置が太ももの骨の内側で後ろにズレている。
↓ 
大腰筋の停止部である小転子が後ろにズレることによって、大腰筋が前方下向きに引っ張られ緊張している。
↓ 
大腰筋が引っ張られることにより、起始部である腰椎も引っ張られ反り腰になり骨盤が前傾している。
↓ 
反り腰が原因で、脊柱を伸展させる腰方形筋多裂筋ともに緊張している。
 
顎を歪ませるクセ脚のねじれの左右差を生む歩き方のクセで背骨と骨盤がねじれ、骨盤に関しては傾きも生じるため、脊柱を側方屈曲させる腰方形筋、脊柱を側方屈曲および回旋させる多裂筋ともに緊張している。

顎を歪ませるクセにより首が起こせていないことも反り腰の原因となっており、脊柱を伸展させる腰方形筋多裂筋ともに緊張している。

他にも原因は考えられますが、まずはMさんの慢性的な腰痛は以上のように起きていると推測し、1回目のレッスンを組み立てました。

Mさんのように、腰痛の原因(根本原因)が腰にあるわけではないことはよくあることなのです。 

1回目のレッスンで腰が楽になられたMさんですが、日々良いクセづけをしていくことで、小脳に書き込まれた良くない動作のデータを良い動作のデータに書き換えることが今後の大切な取り組みとなります。

簡単な股関節のねじれ取りセルフケア動画 

座りっぱなしなどで腰の張りを感じたら、上記の筋肉をイメージしながら股関節のねじれを取るセルフケアを行ってみてください。 

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