筋力・柔軟性に頼らない、今の時代の究極の姿勢作り

筋力アップ・柔軟性アップについて

筋力はあった方が良いです。
柔軟性もあった方が良いです。
そのため、多くの方が筋力アップ柔軟性アップを目指されます。

ですが、バランスが悪いまま、筋力アップトレーニング柔軟性アップトレーニングを続けてきたことで、不調に悩まれている方を講師生活約20年の中でたくさん見てきました。

私たちの体は機能的で、バランスが悪くて使えていない筋肉があっても他の筋肉で補い動けるため、体力がある内は頑張れてしまうのです。

以前、こんなことがありました。

15年ほど前、定期グループレッスンクラスを複数開講していたのですが、そのレッスンに体験で参加された方の中に、フィットネスインストラクターの方がおられました。

その方Aさんは当時30代後半で、インストラクターのお仕事で着用されているハーフトップウェアでレッスンに参加されたのですが、お腹がバッキバキに割れていました!

YURUKU®はスクール開校当初から、筋トレストレッチゼロ、力でコントロールしない姿勢改善法をお伝えしているので、お腹がバッキバキに割れていたAさんは受講生の中でとても目立っていて、「腹筋すごいですね!」と、他の受講生に褒められていました。

インストラクター業をされている方は、これまでもたくさんレッスンに参加されていますが、受講動機をお聞きするとほぼご自身のため。
Aさんの受講動機もご自身のためで、お体を変えたいと強く願っておられました。

極々たまに、「自分ではなくレスナーのため」…とおっしゃる方がおられますが、指導力・説得力・信頼度を上げるのは、技術をあれこれ仕入れることより、指導者自身の体をより良い状態にしていくことと見る目を育てること(いずれも自己研鑽)だと私は思っているので、「ご自身のために受け取ってくださいね^^」とお伝えしています。

インストラクターという肩書があると、ついつい良い所を見せてしまいがちなのですが、Aさんはとても素直に困っていることを私に伝えてくださいました。

お恥ずかしいことなのですが、ヨガマットに寝転がるだけで腰が痛いです。仕事中は我慢しています…ギックリ腰になることもあります。」と。

そしてレッスン後に、「今のお仕事を続けても良いでしょうか…」とご相談も受けました。

私は、「今のお仕事がお好きなら、全力でご自身のお体が楽になるように体改革しましょう。」とお伝えしました。

ご自身が健康になるためにも、指導者として信頼されるためにも、腹筋がバキバキに割れるほどトレーニングを頑張ってきたAさん。
本当にいっぱい頑張ってこられたのだと思います。
でも、30代後半という若い内に限界がきてしまったということです。

こんなお話をすると決まって”筋トレ否定”と見る方がおられるのですが、そうではないのです。
ご自身の体がどういう状態なのか知らないまま、筋力に頼って体作りをすることが、いかに危険かというお話をしたかったのです。

次は、体が柔らかくどんな動きでもできてしまう方について書きます。

どんな動きでもできてしまう人

過去記事に書いた、「関節弛緩性」で反張膝猿腕に悩まれている受講生もおられます。

詳細は、上の記事をお読みいただきたいのですが、簡単にお話すると、関節弛緩性とは関節の靭帯が緩いことを言います。 
一般的には、「関節がゆるい」という言葉がよく使われています。 
 
生まれつき(先天的に)関節がゆるい方もいれば、足首の捻挫を繰り返すなど外傷により後天的にゆるくなってしまった方もおられます。

関節がゆるい方は、ストレッチなど柔軟性を高めるトレーニングを行っていなくても、靭帯による制限がかかりにくいため、色んな動きができてしまいます。

膝をただ伸ばしただけで膝が反ってしまう、肘をただ伸ばしただけで肘が反ってしまうなど、通常なら動かせないところまで動いてしまうので、どのバランスが正解なのかわからなくなるのです。

こういった関節がゆるい方こそ、筋力や柔軟性に頼らず、ねじれを取って、誤ったバランス感覚を正し、骨格を本来の状態に戻す姿勢作りをしていく必要があります。

そうして、膝や肘を反らせないように気を付けるという一時的な対処法ではなく、反れないバランスを身につけていくのです。

今日も、関節がゆるい受講生Bさんのレッスンがあり、うまく動かせていない関節を意識的に動かす練習をしたのですが、他の関節がギュイーンと必要以上に動いてしまい肝心の関節が動いていなかったので、他の関節が勝手に動いていかないバランスになって取り組んでいただきました。

体が柔らかすぎることでバランスが上手く取れない状態であることをご説明すると、Bさんは「あ~…ヨガのレッスンを受けた時、体が柔らかくて色んなポーズが取れるので先生にすごく褒められました。」と、おっしゃっていました。

このように、バランス悪く動いていても、関節がゆるいことでそれなりに動けてしまうので、良くない状態だということに気付かれにくいのです。

そうして、体の柔らかさに任せて動き続けることにより体に負担がかかり、不調が起きるようになってしまわれたのです。

下の記事でご紹介している側弯症による不調をお持ちのKさんも、関節がゆるくどんな動きでもできてしまう方です。

このお話も、柔軟性を上げることを否定しているのだと受け取らないでくださいね。

前述のAさん同様、ご自身の体がどういう状態なのか知らないまま、柔軟性に頼り体作りをすることが危険な場合があるいうことを言いたかったのです。

また、関節弛緩性のご説明の中で、外傷により後天的に靭帯がゆるくなる人もいると書きましたが、

柔らかい体を目指して、苦痛を感じるほどのストレッチを繰り返すことも非常に怖いことだと私は思っています。

最後に、AさんともBさんとも異なる状態の方のお話をします。

筋力でカバーできなくなること

パーソナルレッスンには、70代の受講生もおられます。

その中のお一人Cさんが、「腰が曲がっていると言われるようになった。電車で席をよく譲られるようになった。」と嘆いておられました。

電車で席をよく譲られるようになったことについて、えっ?!座れるなら良いじゃない!と思われましたか?

YURUKU®は、「歩くことは生きること 生きる喜びをともに」を理念に掲げ提唱している、自分で自分の体を守るメソッド。

受講生は皆さんそんなメソッドを選択された、自分の力で前に進むことを大切にされている方々なので、見た目で席を譲られるようになってしまったら、譲って下さった方への感謝の気持ちはあれど、悲しくなってしまうのです。

Cさんのお体の状態・動作を拝見していくと、肩甲骨も腕も左右で異なる動きをして左右ズレていることに気付かず過ごし、背骨がねじれていったのだと見て取れました。

レッスン中、私の体で受講生のねじれを脚・骨盤・背骨・肩甲骨・腕・頭…と再現し、現状をお伝えするのですが、体は勝手に辻褄が合うようにバランスを取るため、じっと止まっていたら一見真っすぐに見えてしまうことがあるのです。

Cさんも、動かずにじっと止まっていたら無意識に力で制御されているようで、それほど腰が曲がって見えないのですが、動き出すとねじれに逆らうことができず、腰がどんどん曲がっていくのです。

若い内は、ねじれていても筋力でカバーできますが、年齢を重ねていくと筋力で体をコントロールできなくなってしまうということです。

じゃあ、筋トレでしょ!ではありませんよ。

Cさんは、AさんBさんと同様に、背骨がねじれていることも、肩甲骨や腕が本来の位置にないことも、左右異なる動きをしていることも全く気付いていなくて、「えっ?!そんなことしてるつもりないです…」と、おっしゃっていました。

お体を素直に動かせていないことに気付いていない状態で筋トレをしても、ねじれた状態は変えられないですし、その状態で頑張るとむしろねじれは強くなってしまいます。

レッスンでは、ねじれを一つ一つ解くようにバランスを取り、左右で異なる動きをしていることを自覚して頂き、その誤った動きにならないよう意識付けができる方法をお伝えしたところ、腰が曲がらずに歩けるようになられました。

やはり、筋トレもストレッチも行っておらず、無意識に長年続けてこられた誤った動きにならないようにする練習に時間を割きました。

ですが、同じ練習をした直後でも、いつもの感覚で再度歩いて頂くと、腰がどんどん曲がっていき脚の動きも悪くなっていかれ、いつもの歩き方なのに「歩きにくい」とおっしゃいました。

こうして、体のねじれを取る調整法を行っても、感覚がズレていることを自覚せずに動くと、またすぐに元に戻ってしまうということをCさんに理解して頂きました。

Cさんにこれからしっかり続けて頂くことは調整法ではなく、誤った動きをした時に気付くことと、誤った動きをやめていくことです。

人生100年時代の究極の姿勢作り

私は、筋トレ・ストレッチに頼らずバランスを取ることで姿勢と歩き方をより良くし、スクールでもその方法をお伝えしてきましたが、それは、人生100年時代に必須の取り組みだと思っています。

何度もしつこいですが、『筋トレをするな』とか『ストレッチをするな』というお話ではないですし、『YURUKUじゃないとダメ』というお話でもありません。

どんな方法であれ、ご自身の体のことを理解し良いバランスで過ごすことができるようになって頂きたいのです。

明治時代の平均寿命は、男女ともに40代前半だったとか。
第二次世界大戦終戦から2年経った1947年(昭和22年)の平均寿命は、男性50.2歳・女性54.0歳だったようです。
1975年(昭和50年)に男女ともに70歳を超え、2015年(平成27年)に男女とも80歳を超えました。

平均寿命が男女ともに70歳を超えた1975年頃、私の祖母が70代半ばで他界しました。
今では「早い」と言われる年齢ですが、その当時は「長生きした」と言われていました。

疫病や戦争も関係がありますが、2000年を超える長い歴史の中で、たった100年の間に、40代前半だった平均寿命が80代前半になったのです。

私が行っている姿勢改善法が、人生100年時代に必須の取り組みだと思っている理由は、昔は筋力でカバーできる内にこの世を去っていたけれど、今はそうではないからです。

体の歪みは筋力でカバーし続けた結果

私たち人間は、1歳ぐらいで立って歩くようになりますが、筋力が弱い赤ちゃんは、バランスを取って立って歩いていますね。

赤ちゃんは、バランスが上手く取れている時はそのまま歩き続けますが、バランスがグラっと崩れるとコロンと尻もちをつきまた立ち上がって歩き出します。

成長するにつれ筋力が増しだんだん転ばなくなっていくけれど、変な動きをしてバランスを崩しても、筋力でカバーできるようになっていったとも言えます。

体の歪みは、良くないバランスを筋力でカバーすることの繰り返しにより生じたのだと私は考えます。

また、カバーできる限界にきているのに、良くないバランスのまま過ごし続けることで、不調が起きるのだとも思っています。

力が抜けないことも、同じ理由です。

受講生に「いつ頃から不調を感じるようになりましたか?」とお聞きすると、多くの方が「50歳ぐらいから。」と お答えになります。

人生50歳の時代は、関節疾患による不調を感じるということは少なかったのではないでしょうか。

歩き方を忘れてしまう環境の中にいる

また、約35年前の1980年代後半には1家に1台車を所有するようになり、子供の遊び場だった空き地が駐車場に変わっていきました。

同じ頃、家庭用ゲーム機が普及し、約30年前の1990年代半ばにはインターネットが誕生。

2000年代には携帯で買い物ができるようになり、今や家に居ながら何でもできるようになりました。

そうして、歩き方を忘れてしまう環境にいることも昔とは違います。

平均寿命世界ランキング、堂々1位の日本。
でも、それを喜んではいられない状況であることをご存知ですか?

日本は、寝たきり高齢者数が断トツで世界1位で、寝たきり期間も世界1位なのだそうです。

寝たきりになる原因の1位は脳卒中だと言われていますが、『転倒・骨折』『関節疾患』を合わせると、脳卒中の割合を超えて1位になります。

転倒・骨折・関節疾患‥いずれも立つことと歩くことに大きく関わっています。

この結果からも、立つバランスも歩くバランスも良くない状態で年を重ねている方が非常に多いということがわかります。

そういう状況でありながら、日本人女性の平均寿命は、16年後の2040年に90歳・30年後の2054年に100歳を超えるのではないかと言われています。

歩く機能を眠らせず、長生きすることが喜ばしいこととなるように生きたいですね。


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まずは、上の記事でもご紹介した、3分の姿勢改善体操正しく朝晩続けてみてください。

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