腕や手の痛み・しびれの原因、腕のねじれ・呼吸について
腕のしびれや痛みを感じている方にお読みいただきたくて、この記事を書きました。
なぜ、腕がしびれたり痛みが出てしまうのか、その仕組みについてのお話から。
体の仕組みを理解すると、どういった姿勢を取れば良いのかイメージしやすくなりますが、医学用語は難しいためわかりやすくまとめました。
胸郭出口症候群をご存知ですか?
胸郭出口とは、鎖骨と第一肋骨の間の狭いすき間 のことで、体の左右にあります。
胸郭出口症候群とは、そのすき間を通っている、腕神経叢(わんしんけいそう)と鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が、鎖骨・第一肋骨・前斜角筋・中斜角筋・小胸筋などに圧迫されることで起きる、首こり・肩こり・腕から手にかけてのしびれ、腕のだるさなどの症状の総称です。
胸郭出口症候群は、なで肩で猫背の女性に多く見られる言われています。
各名称をわかりやすく説明します
腕神経叢・鎖骨下動脈・鎖骨下静脈とは?
腕を動かす時、脳からの司令が、頚髄(首の骨の中にある脊髄)から出ている5つの神経を通って末梢神経※に伝えられているのですが、その5つの神経が草むら(叢)のように複雑に交差している箇所を腕神経叢(わんしんけいそう)と呼びます。
※末梢神経(まっしょうしんけい)とは
私たちの体は、中枢神経系と末梢神経系で構成されています。
脳と脊髄は中枢神経系、脳と脊髄の外側の神経は末梢神経系です。
末梢神経の主な役割は、脳と脊髄からの信号を手足や皮膚・内臓など体の各部位に送ることです。
鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)は、その名の通り、鎖骨の下を通り、主に頭や腕に血液を送っています。
鎖骨下静脈(さこつかじょうみゃく)は、腕や肩から血液を集め心臓に戻します。
斜角筋・小胸筋とは?
斜角筋(しゃかくきん)は、前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋とあり、前斜角筋は頚椎(けいつい:首の骨)3番~6番と第一肋骨に、中斜角筋は頸椎2番~6番と第一肋骨に、後斜角筋は頚椎5番~7番と第二肋骨にそれぞれついています。
小胸筋(しょうきょうきん)は、第三肋骨〜第五肋骨と肩甲骨にある烏口突起(うこうとっき)についています。
斜角筋の主な作用は、首を前に倒すことと横に倒すことで、小胸筋の主な作用は、肩甲骨を下に下げることです。
胸郭出口症候群の4つの種類
胸郭出口症候群には、斜角筋症候群・肋鎖症候群・過外転症候群・頚肋症候群の4つの種類があるそうです。
それぞれどういったものかご説明します。
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)
前斜角筋と中斜角筋と第一肋骨とで構成される三角形のすき間(斜角筋間隙・しゃかくきんかんげき)で、腕神経叢と鎖骨下動脈が圧迫を受けることで、腕のしびれや痛みやだるさ・薬指や小指のしびれや痛みが生じる
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)
第一肋骨と鎖骨との狭いすき間(肋鎖間隙・ろくさかんげき)を通る、鎖骨下動脈・鎖骨下静脈・腕神経叢が圧迫を受けることで、腕のしびれや痛み・手のむくみや冷えなどが生じる
過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)
小胸筋と肋骨との間のすき間(小胸筋間隙・しょうきょうきんかんげき)を通る鎖骨下動脈・鎖骨下静脈・腕神経叢が、上腕(二の腕)を外側に上げた時(肩関節の外転)に圧迫されることで、つり革を持つ・洗濯物を干すといった動作の時に、腕にしびれや痛みが生じる
頚肋症候群(けいろくしょうこうぐん)
通常、肋骨は胸椎(背中の骨)から出ているけれど、まれに先天的に第7頚椎(首の骨の一番下)の横突起が延び肋骨化している場合があり、その頚肋骨(けいろっこつ)と鎖骨や筋肉に腕神経叢が挟まれて、小指側のしびれや痛み・手の感覚障害や冷えが生じる
以上のことから、胸郭出口症候群の症状は、斜角筋間隙・肋鎖間隙・小胸筋下間隙が狭すぎて起きているので、ほぼ姿勢の取り方に問題があり骨格が歪んでしまっていることが原因であることがわかります。
前述の骨や筋肉・神経や動静脈の画像から、斜角筋間隙・肋鎖間隙・小胸筋下間隙を狭めないように・・・と、姿勢のイメージをしてみることも大切に思います。
また、斜角筋と小胸筋は、深呼吸の吸気時に、肋骨を引き上げ胸郭を拡げる作用をする筋肉でもあるため、骨格の歪みによりそれぞれの筋肉がニュートラルな位置に無いことから、良い呼吸ができていないということもわかります。
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そして、腕のしびれや痛みは、腕がねじれていることで起きていることも多いです。
腕がねじれていると首を良い位置に起こすことができないため、反り腰の姿勢になります。
首を良い位置に起こせないと斜角筋がスムーズに動かせなくなりますし、反り腰は呼吸が浅くなる原因にもなります。
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まだまだ考えられることがあります。
脚がねじれていると骨盤が歪み、骨盤が歪んでいると肩関節でねじれが生じるため、そこから肘や手首のねじれにも繋がってしまいます。
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このように全身繋がっているので、首だけ・肩だけなど、体の一部だけを変えることはできません。
そのため、斜角筋間隙・肋鎖間隙・小胸筋下間隙が狭くなる姿勢になってしまった原因がどういった動作からきているのかを探り、全身でバランスを取っていくことが重要になるのです。
腕のしびれが講座中に解消したご受講生
以前、3ステップ講座(現在のトータルバランス姿勢・歩き方講座)を受講された方の中に、腕がしびれると悩まれていた方がおられました。
講座では、1ステップ目に呼吸法を、2ステップ目に脚(股関節・膝関節・足関節)のねじれセルフ解消法を、3ステップ目に腕(肩関節・肘関節・手関節・指関節)のねじれセルフ解消法を、それぞれ時間をかけてお伝えしながら姿勢と歩き方を学んで頂くのですが、3ステップ目の腕のねじれを取る練習をした後にバランス良く立って頂いたところ、腕のしびれが無くなったと喜びの声を上げられました。
講座後にいただいたご感想です。
今日は、ありがとうございました。
レッスンが終わってから、指の痺れがなくなっていたこと、真っ直ぐに立つことができるようになっていたことに驚きました。
昨日から驚き続きです。
一人でも継続できるように、頑張ります!
憧れのノリコ先生に会うことができて幸せでした。
また、よろしくお願いします。
先生と一緒に撮った写真も送ります!
不調が無くなるととてもハッピーになれます!
不調は呼吸や姿勢や歩き方といった日常動作が原因で起きてしまっていると言い切っても良いくらいに多いため、日常動作をより良くすることが楽しく生きるための術だと私は思っています。
それをたくさんの方に知って頂きたくて、こうして記事を書いたり講座を開講しています。
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